できることとすること

HIV除去し体外受精、3大学で27人誕生…慎重論も

 エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液からウイルスを除去し、その精子を使った体外受精などの生殖医療で、これまでに国内で27人の子供が生まれていたことが厚生労働省エイズ研究班(班長・田中憲一新潟大教授)の調査でわかった。

 母子ともにHIV感染例はないが、感染の危険性をぬぐい切れないため、慎重論は依然根強い。研究班は「2000年の第1例以後、予想以上に広がりが早かった」と受け止めており、明確な治療基準がないまま出産が増える事態を懸念。安全基準となる指針を作ることを決めた。

 研究班によると、HIV感染者の生殖医療を実施したのは、新潟大、杏林(きょうりん)大、慶応大。いずれも学内で倫理委員会の承認を受けた。これまで77組(外国人カップル4組含む)のカップルが受診し、43組に治療を試みた。うち22人が妊娠、19人が出産した。8組は双子だった。

 各大学とも、特殊な液などに入れて元気の良い精子を選別する「パーコール法」など複数の技術を組み合わせてウイルスを除去。治療には、使う精子が少なくてすむ体外受精と顕微授精を用いた。出産後に母子を検査したが、ウイルス遺伝子は検出されず、感染は確認されなかった。

 27人の出産にあたっては、ウイルスを検出限界以下まで除去できたとされるが、3大学とは別の大学病院では、3年前に、ウイルス除去方法がずさんで、人工授精した妻が感染した例(妊娠せず)も発覚しており、田中班長は「一刻も早く明文化した指針を作成したい」と話している。しかし、「ウイルスが検出限界以下だっただけで、ゼロを意味するものではない」と安全性を疑問視する声も残っている。

 イタリアでは、ウイルス除去した精子ですでに2000人の赤ちゃんが誕生したとの報告がある。一方、米国では、「危険性がゼロでない」として、ウイルス除去による体外受精は実施されていないという。

 国内で昨年新たに報告されたHIV感染者・エイズ患者は、1000人の大台を超え過去最多。HIVが混入した非加熱血液製剤で感染した薬害エイズ被害者も、治療薬の進歩で延命が図られ、子供を望む夫婦が増えている。
(読売新聞) - 3月7日14時34

技術の進歩は著しいもので、時には怖く感じることがあります。
科学批判をするひとは、その怖さがあるからでしょう。
しかし、批判の大半は見当違いです。
だいたいは政治や社会といった使う側の問題です。
核なんていい例でしょう。


できることと、することは違います。
これはしていいことでしょうか?
危険性は否定できませんが、可能性にかけたい人もいることも確かです。
まだまだ見守っていくべきでしょうね。